2026年改訂に向けた
ISOの動きとは

(2026.9.29更新)

ISOマネジメントシステム規格は、約5年ごとに体系的な見直しが行われ、社会環境や企業経営の変化を反映しながら進化してきました。
現在、品質マネジメントシステム規格「ISO9001」、環境マネジメントシステム規格「ISO14001」はいずれも改訂規格がすでに発行されています。
そこで本記事では、すでにISO認証を取得している組織の経営者・実務担当者が押さえておくべき改訂の方向性を、現時点の最新情報に基づいて解説します。

なぜ今、ISO規格の見直しが進んでいるのか

まず理解しておきたいのは、今回の改訂は「別物に変わる」のではなく、時代に合わせて“進化”する改訂であるという点です。
近年のISOマネジメントシステム規格では、次のようなテーマが共通して重視されるようになっています。

  • 気候変動・持続可能性への対応※
  • 改訂された附属書SLとの整合
  • 附属書A(解説)の充実
  • リスクと機会のより明確な整理(ISO9001)
  • 組織文化・倫理・トップマネジメントの役割強化(ISO9001)
  • 変更管理の明確化(ISO14001)

※「気候変動」については、すでに2024年に追補版としてすべてのマネジメントシステム規格に正式に組み込まれています。

ISO9001/ISO14001 改訂スケジュールの最新情報

現在の改訂進捗状況は以下の通りです。

<ISO9001:2026>
2026年9月16日 IS(国際規格)発行
2026年12月 JIS(国内規格)発行予定

<ISO14001:2026>
2026年4月15日 IS(国際規格)発行
2026年8月20日 JIS(国内規格)発行

ISO9001:2026で想定される
主な変更ポイント

(2026.9.5更新)

ISO 9001:2026は、2026年9月の発行が予定されています。
現時点で示されている内容を見る限り、要求事項そのものの大幅な追加・削除は予定されていません。

今回の改訂の特徴は、「要求事項を変える」というよりも、意図をより明確にする、現代的テーマをはっきり位置づけるという点にあります。
主なポイントは次の通りです。

気候変動の明確化(4.1, 4.2)

すでに追補で導入された内容が正式に組み込まれ、「組織の状況」において、気候変動が自社にとって関連する課題かどうかを判断することが求められます。

※但し、この点については、すでに2024年2月に発行された追補版(ISO9001:2015/Amd.1:2024)に正式に組み込まれています。

リスクと機会の整理(6.1)

従来ひとまとめに扱われがちだった「リスク及び機会」について、

  • 望ましくない影響を及ぼす可能性(リスク)
  • 望ましい影響をもたらす可能性(機会)

を分けて考え、対応することがより明確になります。

トップマネジメントと品質文化・倫理(5.1)

経営層には、品質方針や目標だけでなく、「品質文化」と「倫理的行動」を促進することが明確に求められます。

附属書SLの改訂版との整合性

その他、2024年に改訂された、マネジメントシステム規格の共通構造を示したISO指令の附属書SLの最新版に従って、細かい修正があります。

附属書A(解説)の大幅充実

要求事項そのものは大きく変わらない一方、規格の意図が理解しやすくするための解説が大幅に追加される方向です。

総じて言えば、ISO 9001は「書類中心」から「経営と現場に根づくマネジメントシステム」への進化をよりはっきり打ち出した改訂といえます。

具体的な変更点(対照表)

No.大分類箇条ISO 9001:2015/Amd.1:2024ISO/FDIS 9001:2026
1附属書SL対応共通「文書化した情報を維持/保持する」という表現を使用。「証拠として利用可能な状態にする」等の表現に変更。
2附属書SL対応共通 ISO9001固有のビュレット(a, b, c…)は、附属書SLのビュレットの後に移動。(5.1.1, 5.2, 5.3, 6.1.1, 6.2.1, 7.3, 8.1, 9.3.2)
3利害関係者のニーズ及び期待の理解4.2 c) それらの要求事項のうち、品質マネジメントシステムを通して取組むもの
4利害関係者のニーズ及び期待の理解4.2次の事項は、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため、組織は、これらを明確にしなければならない。
b) 品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項
次の事項は、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため、組織は、次の事項を明確にしなければならない。
b) 品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項
c) それらの要求事項のうち、品質マネジメントシステムを通して取り組むもの
5品質マネジメント
システム
4.4表題「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」表題「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」
6リーダーシップ及びコミットメント5.1.1d) プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する
h) 品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ、指揮し、支援する
i) 改善を促進する
j) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証できるよう、管理層の役割を支援する
f) 品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ、指揮し、支援する
g) 継続的改善を促進する
h) その他の関連する役割がその責任の領域においてリーダーシップを実証できるよう、管理層の役割を支援する
i) 品質文化及び倫理的行動を促進する
k) プロセスアプローチ及びリスク及び機会に基づく考え方の利用を促進する
注記2 組織の品質文化及び倫理的行動は,組織が共有する価値観、姿勢、慣行及び取組みに反映される。
7品質方針5.2表題「方針」表題「品質方針」
8品質方針5.2「5.2.1 品質方針の確立」
「5.2.2 品質方針の伝達」
5.2.1、5.2.2の表題を削除
9品質方針5.2.1トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し、実施し、維持しなければならない。
a) 組織の目的及び状況に対して適切であり、組織の戦略的な方向性を支援する。
トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し、実施し、維持しなければならない。
a) 組織の目的及び状況に対して適切であり、組織の戦略的な方向性を支援する。
e) 組織の状況を考慮に入れ,組織の戦略的な方向性を支援する。
10品質方針5.2.2品質方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ,維持されるである。
b) 組織内に伝達され、理解され、適用されする。
c) 必要に応じて、密接に関連する利害関係者が入手可能である。
品質方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ,維持されるである。
b) 組織内に伝達され、理解され、適用されする。
c) 必要に応じて、密接に関連する利害関係者が入手可能である。
d) 組織内で実施され,理解され、適用される。
11役割、責任
及び権限
5.3表題「組織の役割、責任及び権限」表題「組織の役割、責任及び権限」
12役割、責任
及び権限
5.3トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され、理解されることを確実にしなければならない。
トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。
a) プロセスが、意図したアウトプット結果を生み出すことを確実にする。
c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善の機会を特にトップマネジメントに報告する。
トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され、理解されることを確実にしなければならない。
b) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善の機会を特にトップマネジメントに報告する。
c) プロセスが、意図した結果を生み出すことを確実にする。
e) 改善の機会をトップマネジメントに報告する。
13リスク及び
機会への取組み
6.1「6.1 リスク及び機会への取組み」の細分箇条6.1.1, 6.1.2には表題なし。「6.1.1 リスク及び機会の決定」
「6.1.2 リスクへの取組み」
「6.1.3 機会への取組み」の構成。
(「リスクへの対応」と「機会への対応」を明確に分離した)
14リスク及び
機会の決定
6.1.1d) 改善を達成するc) 継続的改善を達成する
15リスクへの
取組み
6.1.2 組織は,適合した製品及びサービスを継続的に,一貫性をもって提供し,顧客満足を向上する組織の能力に,望ましくない影響を及ぼす可能性があるリスクを決定し,分析し,評価しなければならない。
組織は次の事項を計画しなければならない。〜
16リスクへの
取組み
6.1.2 注記1 決定されるリスクには、業務の中断中及び中断後に、適合した製品及びサービスを提供する能力に関連するリスクが含まれ得る。
17機会への
取組み
6.1.3 組織は,適合した製品及びサービスを継続的に,一貫性をもって提供し,顧客満足を向上する組織の能力に,望ましい影響を及ぼす可能性がある機会を決定し,分析し,評価しなければならない。
組織は次の事項を計画しなければならない。〜
18機会への
取組み
旧6.1.2
新6.1.3
注記2 機会は,新たな慣行の採用、新製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客への取組み、パートナーシップの構築,新たな技術の使用、及び組織のニーズ又は顧客のニーズに取り組むためのその他の望ましくかつ実行可能な可能性につながり得る。注記 機会への取組には,新たな慣行の採用,新製品又は新サービスの発売、新市場の開拓、新たな顧客への取組み、新たなパートナーシップの構築,新興技術の活用、並びに組織の顧客及びその他の密接に関連する利害関係者の現在の及び変化するニーズ及び期待への取組及びその他の取組の実施が含まれ得る。
19変更の計画6.3組織は次の事項を考慮しなければならない。
b) 品質マネジメントシステムの"完全に整っている状態"
c) 資源の利用可能性
意図した結果を達成するように変更が効果的に実施されることを確実にするため、組織は次の事項を考慮しなければならない。
b) 品質マネジメントシステムの"完全に整っている状態"に対する潜在的な影響
c) 資源及び情報の利用可能性
e) 変更のコミュニケーション
f) 変更の有効性の監視方法及び評価方法
g) 変更の結果のレビュー方法
20インフラ
ストラクチャ
7.1.3注記 インフラストラクチャには、次の事項が含まれる可能性がある。注記 全ての業務の種類(例えば、現場、リモート又はその組合せ)において、インフラストラクチャには、次の事項が含まれる可能性がある。
21プロセスの運用に
関する環境
7.1.4注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
〜
これらの要因は,提供する製品及びサービスによって、大いに異なり得る。
注記 適切な環境は,様々な要因の組合せを含み得,提供する製品及びサービスによって異なりであり得る。関連する要因には,次の事項を含む可能性がある。
〜
一部の要因は,組織の品質文化及び倫理的行動によって影響を受ける可能性がある。
22監視及び測定
のための資源
7.1.5.2測定のトレーサビリティが要求事項になっている場合、〜
b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整、損傷又は劣化から保護する。
測定結果のトレーサビリティが要求事項になっている場合、〜
b) それらの校正又は検証の状態を明確にするために識別を行う。
c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整、損傷又は劣化から保護する。
23組織の知識7.1.6組織は、プロセスの運用に必要な知識、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。
この知識を維持し、必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。
組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに自らの品質マネジメントシステムの意図した結果を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。
この知識を必要な範囲で保持し,適用し,共有しなければならない。
24組織の知識7.1.6注記1 組織の知識は、組織に固有な知識であり、それは一般的に経験によって得られる。それは、組織の目標を達成するために使用し、共有する情報である。
注記2 組織の知識は、次の事項に基づいたものであり得る。
a) 内部の知識源〜
b) 外部の知識源〜
注記 組織の知識は,次のような様々な形をとる可能性がある。
−人々がもつ経験に基づく知識
−教育,訓練及び他者からの学びを通じて獲得した知識
−方法,プロセス,及び製品に組み込まれた知識
−文書化した情報,デジタルシステム,その他の媒体で表現された知識
(現在の注記1, 2は削除)
25力量7.2a) 組織の品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務を〜a) 組織の品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務を〜
26認識7.3 組織は、組織の管理下で働く人々が、次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
e) 組織の品質文化及び倫理的行動
27文書化した情報7.5.2表題「7.5.2 作成及び更新」表題「7.5.2 文書化した情報の作成及び更新」
28運用の計画
及び管理
8.1この計画のアウトプットは、組織の運用に適したものでなければならない。
〜
組織は、外部委託したプロセスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にしなければならない。
この計画のアウトプットは、組織の運用に適したものでなければならない。
〜
組織は、品質マネジメントシステムに関連する、外部から提供されるプロセス、製品又はサービスが管理されていることを確実にしなければならない。
29顧客との
コミュニケーション
8.2.1顧客とのコミュニケーションには、次の事項を含めなければならない。
e) 関連する場合には、不測の事態への対応に関する特定の要求事項の確立
顧客とのコミュニケーションには、次の事項を含めなければならない。
e) 関連する場合には、製品又はサービスの提供の中断に関連するあらゆる情報を含む、不測の事態への対応に関する情報の提供
30顧客との
コミュニケーション
8.2.1 顧客とのコミュニケーションの例示の注記を追加(会議、電子メール、ウェブサイトコンテンツ、出版物、ソーシャルメディア、よくある質問への回答及び教育・訓練)
31製品及びサービスに関する要求事項のレビュー8.2.3a) 顧客が規定した要求事項。これには、引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。a) 顧客が規定した要求事項。これには、該当する場合、引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含dむ。
32製品及びサービスに関する要求事項の変更8.2.4〜要求事項が変更されたときには、組織は、関連する文書化した情報を変更することを確実にしなければならない。また、変更後の要求事項が、関連する人々に理解されていることを確実にしなければならない。〜要求事項が変更されたときには、組織は、関連する文書化した情報を更新し、密接に関連する利害関係者に伝達することを確実にしなければならない。
33製品及びサービスの設計・開発8.3.1 注記 設計・開発プロセスには、設計・開発の段階全体にわたって反復的なアプローチを可能にする、レビュー、検証,妥当性確認及びフィードバックのサイクルを含む場合がある。
34設計・開発の計画8.3.2g) 設計・開発プロセスへの顧客及びユーザーの参画の必要性g) 設計・開発プロセスへの顧客及び密接に関連する利害関係者の参画の必要性
35設計・開発への
インプット
8.3.3 注記 設計・開発へのインプットは、必ずしも初めから完全に定義される又は既知であるとは限らない。むしろ、それらは設計の進行に伴い,開発活動のサイクルを繰り返すことを通じて発展していく可能性がある。
36設計・開発からの
アウトプット
8.3.5d) 意図した目的並びに安全で適切な使用及び提供に不可欠な、製品及びサービスの特性を規定している。d) 安全で適切な使用及び提供を含む、意図した目的に不可欠な、製品及びサービスの特性並びに製品及びサービスに関する情報を規定している。
37外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理8.4.1c) プロセス又はプロセスの一部が、組織の決定の結果として、外部提供者から提供される場合c) プロセス又はプロセスの一部が、組織の決定の結果として、外部提供者から提供される場合
38外部提供者に
対する情報
8.4.3組織は、次の事項に関する要求事項を、外部提供者に伝達しなければならない。
d) 組織と外部提供者との相互作用
f) 組織又はその顧客が外部提供者先での実施を意図している検証又は妥当性確認活動
組織は、必要に応じて、次の事項に関する要求事項を、外部提供者に伝達しなければならない。
d) 組織と外部提供者との相互作用。これには、該当する場合には、必ず、その顧客及びその他の密接に関連する利害関係者との相互作用を含める。
f) 組織又はその顧客が外部提供者先又は他の場所での実施を意図している検証又は妥当性確認活動
39製造及びサービス
提供の管理
8.5.1a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにし、かつ、使用する。
40監視、測定、
分析及び評価
9.1.1b) 妥当な結果を確実にするために必要な、監視、測定、分析及び評価の方法b) 該当する場合には、必ず、妥当な結果を確実にするために必要な、監視、測定、分析及び評価の方法
41顧客満足9.1.2組織は、顧客のニーズ及び期待が満たされている程度について、顧客がどのように受け止めているかを監視しなければならない。組織は、顧客満足を監視しなければならない。
42顧客満足9.1.2 注記に、顧客満足の理解を支援する情報源として、苦情とソーシャルメディアを追加
43分析及び評価9.1.3d) 計画が効果的に実施されたかどうかd) 計画の実施の有効性
44内部監査
プログラム
9.2.2組織は、次に示す事項を行わなければならない。
a) 頻度、方法、責任、計画要求事項及び報告を含む、監査プログラムの計画、確立、実施及び維持。監査プログラムは、関連するプロセスの重要性、組織に影響を及ぼす変更、及び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならない。
b) 各監査について、監査基準及び監査範囲を定める。
内部監査プログラムを確立するとき、組織は、関連するプロセスの重要性、組織に影響を及ぼす変更及び前回までの監査の結果を考慮しなければならない。
組織は、次に示す事項を行わなければならない。
a) 各監査について、監査目的、監査基準及び監査範囲を定める。
45マネジメント
レビューへの
インプット
9.3.2マネジメントレビューは、次の事項を考慮して計画し、実施しなければならない。マネジメントレビューには、次の事項を含めなければならない。
46マネジメント
レビューへの
インプット
9.3.2 c) 品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者のニーズ及び期待への変更
47マネジメント
レビューへの
インプット
9.3.2d) 次に示す傾向を含めた、品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に関する情報d) 次に示す傾向を含めた、品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に関する情報
48マネジメント
レビューの結果
9.3.3マネジメントレビューからのアウトプットには、次の事項に関する決定及び処置を含めなければならない。マネジメントレビューの結果には、〜に関する決定及び処置を含めなければならない。
49改善10「10.1 一般」
「10.2 不適合及び是正処置」
「10.3 継続的改善」の構成。
「10.1 継続的改善」
「10.2 不適合及び是正処置」の構成。
50継続的改善旧10.1, 10.3
新10.1
 旧10.3を10.1へ移動し、旧10.1と合併
51継続的改善10.1注記 改善には、例えば、修正、是正処置、継続的改善、現状を打破する変更、革新及び組織再編が含まれる。注記 改善には、漸進的(incremental)な変更、飛躍的(breakthrough)な変更、革新又は組織再編の取組みを通じて達成され得る。
52不適合及び
是正処置
10.2.1苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合、〜
b) その不適合が再発〜
 1) その不適合をレビューし、分析する
苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合、〜
b) その不適合が再発〜
 1) その不適合をレビューし、分析する
注記 顧客の苦情が、不適合の原因になる可能性がある。

※要求事項部分(箇条4〜10)のみの主要な変更点を示しており、変更点を全て網羅しているわけではないことをご了承ください。
※最終的には必ず正式な規格本文(ISO9001:2026, 又はJIS Q 9001:2026)を参照してください。

ISO14001:2026の
主な変更ポイント

(2026.9.5更新)

ISO 14001:2026は2026年4月に発行されました。
こちらもISO 9001と同じく、要求事項そのものの大幅な追加・削除はありません。

気候変動の明確化(4.1, 4.2)

すでに追補で導入された内容が正式に組み込まれ、「組織の状況」において、気候変動が自社にとって関連する課題かどうかを判断することが求められます。

※但し、この点については、すでに2024年2月に発行された追補版(ISO14001:2015/Amd.1:2024)に正式に組み込まれています。

「環境状態」の例の明確化(4.1)

組織に影響を与える、又は組織から影響を受ける可能性のある「環境状態」の例を明確にする追加があります(汚染レベル、天然資源の入手可能性、気候変動、生物多様性や生態系の健全性など)。これは、気候変動のみを対象とするすべてのISOマネジメントシステム規格の2024年追補版を超える内容になっています。

要求事項の順序の変更(6.1)

「リスク及び機会への対応」(6.1)の要求事項の順序が、環境側面(6.1.2)と順守義務(6.1.3)を特定し、次に、関連するリスクと機会(6.1.4)を特定し、それからそれらに対処するために必要な処置を計画する(6.1.5)、という順番に変更されています。

変更管理の明確化(6.3)

最新版の附属書SLに準拠するために6.3の要求事項が追加されました。
8.1にすでにある変更の管理された実施の要求事項に加えて、包括的な変更管理のプロセスが要求される予定です。

附属書SLの改定版との整合性

その他、2024年に改訂された、マネジメントシステム規格の共通構造を示したISO指令の附属書SLの最新版に従って、細かい修正があります。

附属書A(解説)の大幅な改善

要求事項そのものは大きく変わらない一方、解説部分が改善され、規格の意図が理解しやすくなる予定です。
ISO 14001は、「環境配慮型経営」から「持続可能性をより意識したマネジメントシステム」への進化と捉えると分かりやすいでしょう。

具体的な変更点(対照表)

No.大分類箇条ISO14001:2015/Amd.1:2024ISO14001:2026
1附属書SL対応共通「文書化した情報を維持/保持する」という表現を使用。「証拠として利用可能な状態にする」等の表現に変更。
2組織及び
その状況の理解
4.1こうした課題には、組織から影響を受ける又は組織に影響を与える環境状態を含めなければならない。

組織は、気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない。
こうした課題には、汚染レベル、天然資源の利用可能性、気候変動、生物多様性、生態系の健全性など、組織から影響を受ける又は組織に影響を与える環境状態を含めなければならない。

組織は、気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない。
3利害関係者のニーズ
及び期待の理解
4.2c) それらのニーズ及び期待のうち、組織の順守義務となるもの

注記 関連する利害関係者は、気候変動に関連する要求事項を持つことがある。
c) それらのニーズ及び期待のうち、組織の順守義務となり、環境マネジメントシステムを通して取り組むもの

注記 関連する利害関係者は、気候変動に関連する要求事項を持つことがある。
注記1 関連する利害関係者は、汚染レベル、天然資源の利用可能性、気候変動、生物多様性又は生態系の健全性などの環境条件に関連するニーズ及び期待を持つ可能性がある。
注記2 法的要求事項以外の、利害関係者のニーズ及び期待は、組織がそれを遵守することを決定したときに順守義務となる。
4環境マネジメント
システムの
適用範囲の決定
4.3e) 管理し影響を及ぼす組織の能力e) 組織の活動、製品及びサービスのライフサイクルにわたって管理し影響を及ぼす組織の能力
5 5.1i) その他の関連する管理層がその責任の領域において〜i) その他の関連する役割が、その責任の領域において〜
6環境方針5.2注記 環境保護に対するその他の固有なコミットメントには、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、並びに生物多様性及び生態系の保護を含み得る。注記 環境保護に対するその他の固有なコミットメントには、天然資源の保存若しくは保全、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、並びに生物多様性及び生態系の保護を含み得る。
7リスク及び
機会への取組み
6.1「6.1.1一般」
「6.1.2環境側面」
「6.1.3順守義務」
「6.1.4取組みの計画策定」の構成。
「6.1.1一般」
「6.1.2環境側面」
「6.1.3順守義務」
「6.1.4リスク及び機会」
「6.1.5取組みの計画策定」の構成。
8リスク及び
機会への取組み
旧6.1.1
新6.1.1 / 6.1.4
 従来の6.1.1の第1段落、及びプロセスの文書化要求以外の主要な部分が、新しい6.1.4「リスク及び機会」へ移動。
9環境側面6.1.2 注記1 ライフサイクルの視点には、ライフサイクルの各段階での環境側面及び環境影響の考慮が含まれる。ライフサイクルの各段階には、原材料の取得、設計、生産、輸送又は配送(提供)、使用、使用後の処理及び最終処分が含まれる。
10環境側面旧6.1.1
新6.1.2
 組織は、環境影響を与える可能性のあるものを含む、潜在的な緊急事態(8.2参照)を決定しなければならない。(従来の「6.1.1一般」にあった記述を移動)。
 環境側面6.1.2b) 非通常の状況及び合理的に予見できる緊急事態a) 通常及び非通常の状態
c) 潜在的な緊急事態
11取組みの
計画策定
旧6.1.4
新6.1.5
 従来の6.1.4が6.1.5に移動。
12変更の計画策定6.3 6.3「変更の計画策定」を新規追加。
(2015年版の附属書A.1にあった変更のマネジメントに関する手引を要求事項に移し、附属書SLの共通テキストと合併)
13運用の計画策定
及び管理
8.1組織は、外部委託したプロセスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にしなければならない。組織は、環境マネジメントシステムの意図した成果に関連する、外部から提供されたプロセス、製品又はサービスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にしなければならない。
14運用の計画策定
及び管理
8.1プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつために〜プロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために〜
15監視、測定、分析
及び評価
9.1.1 「環境パフォーマンス及び環境マネジメントシステムの有効性を評価しなければならない」の文章を第1段落に移動。a) は「監視、測定及び分析が必要な対象」へ整理。
16監視、測定、分析
及び評価
9.1.1a) 監視及び測定が必要な対象a) 監視、測定及び分析が必要な対象
17内部監査
プログラム
9.2.2内部監査プログラムを確立するとき、組織は、関連するプロセスの環境上の重要性、組織に影響を及ぼす変更及び前回までの監査の結果を考慮に入れなければならない。内部監査プログラムを確立するとき、組織は、関連するプロセスの環境上の重要性、組織に影響を及ぼす変更及び前回までの監査の結果を考慮しなければならない。
18内部監査
プログラム
9.2.2組織は、次の事項を行わなければならない。
a) 各監査について、監査基準及び監査範囲を明確にする
組織は、次の事項を行わなければならない。
a) 各監査について、監査目的、監査基準及び監査範囲を明確にする
19内部監査
プログラム
9.2.2組織は、監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として、文書化した情報を保持しなければならない。組織は、次の文書化した情報を入手可能にしなければならない。
- 監査プログラム
- 監査プログラムの実施の証拠
- 監査結果の証拠
20マネジメント
レビュー
9.3細分箇条なし「9.3.1一般」、「9.3.2マネジメントレビューへのインプット」、「9.3.3マネジメントレビューの結果」の細分箇条を設定。
21マネジメント
レビューへの
インプット
9.3.2マネジメントレビューは、次の事項を考慮しなければならない。マネジメントレビューへのインプットには、次の事項を含まなければならない。
22マネジメント
レビューへの
インプット
9.3.2b) 2) 順守義務を含む、利害関係者のニーズ及び期待b) 2) 順守義務を含む、環境マネジメントシステムに関連する利害関係者のニーズ及び期待
23マネジメント
レビュー・結果
9.3.3マネジメントレビューからのアウトプットには、次の事項を含めなければならない。マネジメントレビューの結果には、次の事項を含めなければならない。
24改善10「10.1一般」
「10.2不適合及び是正処置」
「10.3継続的改善」の構成。
「10.1継続的改善」
「10.2不適合及び是正処置」の構成。
25継続的改善旧10.1/10.3
新10.1
10.1
組織は、EMSの意図した成果を達成するために、改善の機会(9.1, 9.2及び9.3参照)を決定し、必要な取組みを実施しなければならない。
10.3
組織は、環境パフォーマンスを向上させるために、EMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。
組織は、環境マネジメントシステムの意図した成果を達成するために、改善の機会(9及び10.2参照)を決定し、必要な取組みを実施することによって、環境パフォーマンスを向上させるために、EMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。(従来の10.1と10.3を統合)

※要求事項部分(箇条4〜10)のみの主要な変更点を示しており、変更点を全て網羅しているわけではないことをご了承ください。
※最終的には必ず正式な規格本文(ISO14001:2026, 又はJIS Q 14001:2026)を参照してください。

今回の改訂が
認証取得企業に与える影響

既存認証はどうなるのか(移行期間・審査対応)

既存のISO9001及びISO14001の2015年版の認証は、2026年版発行から3年間有効です。

従って、ISO9001は2026年9月に発行された場合、2029年9月まで、ISO14001は2029年4月までに認証を移行する必要があります。

審査は改訂規格の差分を確認する移行審査として実施されますが、通常の定期審査や更新審査と同時に実施できます。移行審査での追加工数については、今後発行される認定機関からの指針に従って定められます。(今のところ未定です)

文書・運用のどこを見直す必要があるか

今回の改訂では、新たに文書化が要求されるようなものはありません。したがって、何らかの文書を新たに作成しないといけない、ということは基本的にはありません。ただ、今回の改訂は、現在のマネジメントシステムをより有効なものにアップデートする上では大きなチャンスとなります。「審査に対応するため」ではなく、「マネジメントシステムをより良くするため」に、規格の変更部分の意図を理解し、必要に応じて仕組みの見直しや強化をされることをお勧めします。

いま企業が取るべき
3つの対応

1. 最新情報の継続的な把握

ISO14001:2026については、すでに日本語版のJIS Q 14001:2026も発行されています。また、ISO9001:2026は9月に発行予定で、JIS Q 9001も年内には発行されることが予定されているため、まずはそれらの正式版の規格を入手し、内容を確認することが重要です。その際、ポイントとなるのは以下の点でしょう。

  • 2015年版規格との違いは何かを理解する。その際には、このページの新旧規格の対照表などを参考にされると良いでしょう。
  • 改訂版での変更の意図は何かを理解する。その際、ISO9001、ISO14001ともに、今回の改訂では附属書Aの解説が大幅に充実化されていますので、参考になるでしょう。

2. 自社マネジメントシステムのギャップ分析

規格の変更点やその意図を理解した上で、現在のマネジメントシステムとの差異(ギャップ)がないかを確認しましょう。

今回の改訂の変更点は、主に以下のように分類できるでしょう。

  1. 表現や記載の順序は変更されているが、意味はほとんど変わっていないもの(編集上の変更など)
  2. 規格の正しい理解を促すために、表現が変更されているもの
  3. 新たに追加・変更された要素もあります(特に、ISO9001の「品質文化と倫理的行動の促進」や「リスクと機会の分離」、ISO14001の「変更管理」の明確化など)

上記①についてはあまり気にする必要はありませんが、②や③については注意する必要があります。②については、今回の変更を機に、もし今までの理解が正確ではなかった部分があれば、見直しをされることが重要です。また、③については、それらの追加・変更の意図を理解し、自分たちのマネジメントシステムにそれらの要素をどのように取り込むことが有益かを考慮して、具体的な対応を(その必要性を含めて)検討されると良いでしょう。

3. 社内教育の実施

今回の規格改訂に関して、社内で教育を行うことも重要です。変更は大きくないとは言え、改訂された背景には規格作成委員会の意図があります。「審査に対応する」ためではなく、「自分たちのマネジメントシステムをより良くする」ために、変更点とその意図を関連する人に周知しましょう。特に内部監査員に対しては、監査基準である規格が変更されることになりますので、それらの変更点を、背景にある意図とともに理解してもらい、適切な内部監査を実施してもらうことが重要です。

よくある疑問(Q&A)

改訂対応はいつから始めるべきか?

改訂版への移行期間は3年間です。また、今回の改訂はあまり大きな変更ではありません。そう考えると、それほど急いで対応する必要はないと思われるかもしれませんが、移行期限ギリギリになって慌てることのないよう、早め早めに対応した方が良いでしょう。

まずは、改訂規格の内容を把握することが重要になりますので、このページの新旧規格の対照表を参考に、最終的には、必ず正式な規格本文(日本語の正式な規格はJIS Q 9001及びJIS Q 14001)を参照しながら、今回の変更点を理解しましょう(JIS Q 9001は2026年12月ごろ発行予定、JIS Q 14001は2026年8月20日にすでに発行されています)。その後は、上記の「今企業が取るべき3つの対応」に記載されたステップを参考に、移行の対応を進められることをお勧めします。

大幅な仕組み変更は必要か?

今回の改訂では、新たに文書化が要求されるようなものはありません。したがって、何らかの文書を新たに作成しないといけない、ということは基本的にはありません。ただ、今回の改訂は、現在のマネジメントシステムをより有効なものにアップデートする上では大きなチャンスとなります。「審査に対応するため」ではなく、「マネジメントシステムをより良くするため」に、規格の変更部分の意図を理解し、必要に応じて仕組みの見直しや強化をされることをお勧めします。

審査費用や工数は増えるのか?

改訂版に移行するには、移行審査を受ける必要があります。これは、通常の定期審査や更新審査のタイミングで同時に実施することも、移行審査を単独で実施することもできます。ただ、単独で行うことのメリットは特にありませんので、通常予定されている定期審査や更新審査と同時に受けられた方が良いでしょう。移行審査での工数の追加は、認定機関からの正式な移行要領が発行されていませんので、未定です。この情報については、このページで随時アップデートしていきます。

現時点で、すぐに対応しなければならない新しい要求事項は多くありません。
しかし、今回の改訂は確実に次のメッセージを組織に投げかけています。

  • 気候変動・環境課題を「他人事」にしていないか
  • マネジメントシステムが経営や現場の意思決定に本当に使われているか
  • リスクだけでなく「機会」を戦略に結びつけているか
  • 文化・倫理・人の行動に踏み込めているか

従って、今回の改訂を、自社のマネジメントシステムを“形式”から“経営の道具”へ進化させるきっかけと捉えることが重要です。

ISO 9001:2026・ISO 14001:2026の改訂は、「要求事項が激変する改訂」ではありません。
むしろ、

  • 気候変動
  • 持続可能性
  • 組織文化
  • 経営との統合

といった要素を明確に位置づけることで、ISOをより経営に役立つ仕組みへ進化させる改定です。
すでに認証を取得している組織にとって、最大のポイントは、「審査のためのISO」から「経営と改善に効くISO」へどう高めるかという点でしょう。

今回の改訂への対応を、その絶好のチャンスと捉えていただくことを期待しております。

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