【ISO9001】9.2 内部監査(2)

品質マネジメントシステムの適合性と有効性を自分たちでチェックしよう

(前回の続き)

内部監査員をどのように選定するか

内部監査のプログラムを策定したら、次に内部監査を実施する内部監査員を割り当てる必要があります。内部監査員に必要な力量については、規格は特に明確に言及していませんので、組織が決める必要がありますが、当然ながら誰でも内部監査ができるわけではありません。一般的に、内部監査を行うに当たっては、以下のような知識やスキルが必要になってくるでしょう。

  • 監査しようとする規格の要求事項の知識
  • 監査しようとする領域(プロセス)に関する技術的な知識
  • 監査チェックリストの作成、インタビュー、報告書作成等に関するスキル

また、どの監査員にどの領域(プロセス)を監査してもらうかを決める際には、「監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために、監査員を選定」しなければならない、ということが要求されています。そしてこれは、ISO9000:2015の「監査」の定義(3.13.1)の注記3にあるように、「独立性は、監査対象の活動に対する責任を負っていないことで実証することができる」と考えられます。

これは、監査対象に責任を有する人が監査をした場合、自らの責任範囲の活動における問題に気づきにくかったり、もしくは気づいても意図的に見逃したりといったことを防ぐことを目的としたものです。公平性や客観性を確保するために、例えば監査対象とは別の組織や別の部署の人に監査してもらわなければいけないということでは必ずしもありませんが、通常は監査対象の活動を実施する部門とは別の部門の人が監査することで公平性・客観性を確保することが多いでしょう。しかし、これは小さな組織においては必ずしも容易ではないでしょう。そのような場合は、規格の意図を汲み、できるだけ客観的な立場で見られる人を選定したり、外部の代理人に監査を依頼したりすることになるでしょう。また監査員の選定にあたっては、監査対象のプロセスの結果を受け取る次のプロセス(次工程)の人を参加させることが有効な場合もあります。なぜなら、次工程の人は監査対象のプロセスの問題点をよく把握していることが多いからです。しかしこのような場合も、次工程としての自部門の正当性を主張しようという意識が強く働き過ぎると「公平性」を欠くことにもなりかねないので、注意が必要でしょう。

内部監査をどのようにフォローアップするか

監査を実施した後は、監査において懸念事項(不適合や観察事項)を指摘された部署の責任者は、それらに対して必要な修正(検出された不適合を除去するための処置)や是正処置(検出された不適合の再発を防止するための処置)を遅滞なく実施する必要があります。また、是正処置をとった場合は、その有効性を確認するためにフォローアップを行なうことが必要です。

このフォローアップは、発見された不適合の重大性や、それに対する処置の緊急性によっていつ行うかは変わってくるでしょう。重大な不適合や、処置の緊急性が求められるような不適合に対しては、そのフォローアップだけを目的として臨時に確認を行うこともあるでしょうし、そうでない場合は次回の内部監査で行う、ということもあるでしょう。

 

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