【ISO9001】8.5 製造及びサービス提供(1)

製造・サービス提供に関わるプロセスを適切に管理して実施しよう

この項目の要求事項を一言で言うと、「製造やサービス提供に関わるプロセスを管理された状況下で実施しなさいということです。この項目はさらに以下のような細分項目に分かれています。

  • 8.5.1:製造及びサービス提供の管理
  • 8.5.2:識別及びトレーサビリティ
  • 8.5.3:顧客又は外部提供者の所有物
  • 8.5.4:保存
  • 8.5.5:引渡し後の活動
  • 8.5.6:変更の管理

製造・サービス提供を管理された状況下で実施する(8.5.1

8.5.1は、製造業であれば製品を製造する現場、サービス業であればサービスを提供する現場に関わるプロセスに対する要求事項について規定しています。ここでは製造・サービス提供が「管理された状態」で行われることが要求されており、この「管理された状態」には以下のような事項が含まれます。

  • 製品・サービスや活動の特性、達成すべき結果を定めた文書化した情報が入手できる(例 製品の図面や仕様書、作業手順書等が適切に入手できるようになっている)。
  • 適切な監視・測定のための資源が使用できる(例 製品の特性を測定するための適切な計測器が使用できるようになっている)。
  • 適切な段階で監視・測定活動が実施されている(例 製品の検査やサービスのチェック(例えば、修理サービスでの対応時間や復旧状況のチェック、運送業での積荷のチェックやドライバーの監視等)といった活動や、プロセスの監視・測定(例えば、製造業での不良率や稼働率の監視、修理サービスでの修理後不具合発生率の監視等)といった活動が、計画通りに実施されている)。
  • 適切なインフラストラクチャー・プロセス運用の環境が使用されている(例 適切な生産設備や機器が使用されている、クリーンルームや静電対策など必要な環境下で生産活動が実施されている)。
  • 必要な適格性を含む、力量のある要員が任命されている(例 適切な教育訓練や経験を有し、力量を持った人がそれぞれの業務に割り当てられている)
  • アウトプットが以降の監視・測定で検証できない場合、プロセスの妥当性が確認・再確認されている(例 溶接や塗装、メッキなどの「特殊工程」について、あらかじめ必要な条件(人や設備、手順、条件等)が決められ、それによって作業された場合の妥当性が確認されている)。
  • ヒューマンエラーを防止する処置が実施されている(例 生産設備でポカヨケ対策が実施されている、ストレス軽減の処置が取られている)。
  • 必要なリリース、引渡し、引渡し後の活動が実施されている(例 製造業で必要な検査を実施し、それに合格したことを確認することでリリースや顧客へ引き渡されている、修理業で機器が直ったことを確認した上で顧客へ引き渡されている、保証サービスや定期点検など顧客と合意した引渡し後の活動が適切に実施されている)。

製品・サービスを適切に識別し、必要に応じてトレーサビリティを確保する(8.5.2

次の8.5.2では、製品・サービスの識別と、それに基づくトレーサビリティに関する要求事項が規定されています。ここで要求されていることは、主に以下の三つです。

  • 製品・サービスがそれぞれ区別できるようにする(製品・サービスの適合を確実にするために必要な場合)。
  • 製品・サービスが、監視・測定に関連してどのような状態にあるのか(例 製品が検査されたのか、これから検査するのか等)を明確にする。
  • 要求されている場合、個々の製品・サービスを追跡できるようにするために文書化した情報(記録)を保持する。

どのように識別するかは組織が決めることになりますが、製造業であれば、シリアルナンバーを管理したり、製品に現品票や検査済みの表示を添付したり、あるいは検査済み製品と未検査製品の置き場を明確にしたりするなどの方法で識別が行われていることが多いでしょう。

特に自動車業界や食品業界では厳格なトレーサビリティが要求されていますが、そのような業界の組織は、個々の製品を原材料や出荷先等に追跡できるようにする必要があり、そのために個々の製品に固有の識別をつけて管理し、記録を保持する必要があります。これは、製品のロットやバッチ、あるいは個々の部品や組立品に対して実施することができます。8.5.2ではこの識別やトレーサビリティを管理するプロセスを文書化することは要求されていませんが、このように厳格なトレーサビリティが要求されている場合には、必要に応じてトレーサビリティを確保するためのプロセスを記述した文書を作成したり、情報システムによって管理する等の方法が有用でしょう。

(次回に続く)