【ISO9001】7.5 文書化した情報(1)
品質マネジメントシステムに必要な文書や記録を作成し、管理しよう
この項目の要求事項を一言で言うと、「品質マネジメントシステムを効果的に運用するために必要な文書や記録を作成し、それらを適切に管理しなさい」ということです。そして、この項目は7.5.1~7.5.3の三部構成になっており、それぞれ以下のようなことが規定されています。
- 7.5.1:品質マネジメントシステムに必要な文書化した情報には何を含むべきか
- 7.5.2:文書化した情報の作成・更新のために何をしなければならないか
- 7.5.3:文書化した情報の管理(配付、検索、保管、変更管理、廃棄等)のために何をしなければならないか
「文書化した情報」とは?
「文書化した情報(documented information)」は何とも耳慣れない言葉ですが、これは日本人にとってだけでなく、英語圏の人にとっても違和感のある「ヘンな」言葉だそうです。これは、規格では以下のように定義されています。
「組織が管理し、維持するよう要求されている情報、及びそれが含まれている媒体」(ISO9000:2015, 3.8.6)
今までは「文書」「記録」と書かれていたものが、2015年版から「文書化した情報」としてひとまとめで表現されるようになったわけですが、それは「文書」「記録」と言ってしまうとどうしても従来の紙媒体のものを想起させてしまうため、それを避けるためにこのような表現になりました。つまり、ここで重要なのは紙か電子かという媒体ではなく、「情報」そのものである、ということです。しかし、実際には「文書」か「記録」かで管理のポイントも異なってくるため、文書化した情報を「維持する(maintain)」「保持する(retain)」という言葉で区別がされています(「維持する」と言った場合は従来の「文書」を、「保持する」と言った場合は従来の「記録」をそれぞれ意味します(詳しくは、「ISO9001:2015誌上講義 『文書』と『記録』はどう違う? ~コラム1:文書化した情報の『維持』と『保持』」を参照してください)。
品質マネジメントシステムにはどのような「文書化した情報」が必要か?
7.5.1では、品質マネジメントシステムに必要な文書化した情報として、
・ この規格で要求しているもの
・ 組織が必要と判断したもの
があると規定しています。このうち、「この規格で要求しているもの」としては、以下のようなものがあります。
規格が要求する「文書化した情報」
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※ 表中の「M」は「維持」、「R」は「保持」を意味します。
また、2番目の「組織が必要と判断した文書化した情報」は、この項目の注記にあるように、「組織の規模や活動・プロセス・製品・サービスの種類、プロセスやその相互作用の複雑さ、人々の力量」によって異なります。従って、それぞれの組織は、考えられるリスクに基づいてどのような文書化した情報が必要かを判断することが重要です。
(次回に続く)