概要
ISO14001は「環境マネジメントシステム」の要求事項を規定した国際規格です。
ISO9001に続くマネジメントシステム規格として1996年に初版が発行されました。
その後、2004年に改定が行われ、現在は2015年版が使用されています。
歴史
世界的な産業社会化が進むにつれ、環境問題が、局地的・一時的な「公害問題」から、その影響範囲が地球規模、長期的に及ぶ「地球環境問題」として取り上げられる中、特に1970年代以降、国連を中心にこの「地球環境問題」への対応が国際的にも大きな関心事となりました。
このような流れの中、産業界でも主要各国・地域において環境保全のための体系的な管理の仕組みを確立する動きが進み、これらを元により普遍的で国際的に統一された規格の要請が高まった結果、1996年に環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001が発行されました。
ISO14001は社会的責任を果たそうとする多くの組織に受け入れられ、発行以来順調に広まりました。
その後、社会的な環境意識がますます高まる中、当初のISO14001規格が主に目的としていた「汚染の予防」だけでなく、組織の戦略的な方向性と合致したより自主的・積極的な環境への取組みも視野に入れた、言わば「攻めの環境マネジメントシステム」への転換の必要性もあり、2015年に初めての大改定が行われました。
この結果、組織の戦略的方向性や事業プロセスとの整合、組織レベルのリスクへの対応、ライフサイクルの考え方等を強調した2015年版が発行され現在に至っています。
目的
ISO14001の目的は、「社会経済的ニーズとバランスをとりながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応する」ことにあります。
ここで言う「環境保護」は、「汚染の予防」だけでなく、「持続可能な資源の利用」「気候変動の緩和・適応」「生物多様性・生態系の保護」といったことも含みます。どんな組織もその事業活動や製品・サービスを通じて環境に対して何らかの影響を与えています。
環境問題がこれからますます地球規模での関心事としての重要性を増していく中、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築・運用することは、社会的な責任を果たさなければならない組織が環境管理活動を行う上でより有効なツールとなり得ます。
メリット
ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを適切に導入することで、例えば以下のようなメリットが期待できるでしょう。
◆汚染を予防し、環境に対する負荷を低減するために組織のプロセスが管理されているという信頼を対外的に与えることができる。
◆環境に関する法規制を順守するための仕組みを持ち、法規制の確実な順守に向けた取り組みを行っている組織であるという信頼を対外的に与えることができる。
◆緊急事態を想定し、対応できる仕組みを構築することで、緊急事態が発生した際の影響を最小限に抑えることができる。
◆明確な目標設定と計画立案、内部監査、監視測定、失敗に対する是正処置などを通じて自ら継続的に改善を行う仕組みを構築し、運用することができる。
◆従業員・スタッフの環境に対する意識を向上させることができる。