【ISO14001】9.1.1 (監視、測定、分析及び評価)一般(2)

環境マネジメントシステムがうまく機能しているかを評価しよう

(前回の続き)

監視、測定、分析、評価のプロセス?

監視、測定、分析、評価のそれぞれの用語の意味を理解したところで、この項目では監視、測定、分析、評価のプロセスを確立、実施、維持することが求められていますが、ここでは具体的には以下のようなことを明確にすることが要求されています。

  • 「何を」監視、測定するか?
  • 「どのように」監視、測定、分析、評価するか?
  • 「どのような基準で」評価するか?
  • 「いつ」監視、測定するか?
  • 「いつ」分析、評価するか?

 

何を監視、測定し、どのように評価すべきか?

それでは、「何を」監視・測定すべきか、そしてその結果に基づいてパフォーマンスをどのように評価すべきなのでしょうか。これらについては、附属書A.9.1.1の説明が参考になります。

 

監視・測定の対象としては、まずは環境目標に関するものがありますが、附属書A.9.1.1にもあるように、環境目標の進捗のほかに監視し測定することが望ましいものを決定するときには、著しい環境側面、順守義務及び運用管理を考慮に入れることが望ましいでしょう。

 

そして、監視、測定、分析、評価のための方法は、以下の事項を考慮して定めることが望ましいということも言われています。

  • 分析・評価の結果の必要性に基づいて、監視・測定のタイミングを決定する。
  • 監視・測定の結果が信頼でき、再現性があり、追跡可能であるようにする。
  • 分析・評価が信頼でき、再現性があり、組織が傾向を報告できるようにする。

 

監視・測定の結果から組織は、環境パフォーマンスと環境マネジメントシステムの有効性を評価しなければなりません。これは、ISO14001:2015の大きな特徴である「パフォーマンスの重視」を反映していると言えます。なお、「パフォーマンス」とは「測定可能な結果」(3.4.10)と定義されていますが、附属書6.2では、測定可能、という言葉に対する説明として「定量的又は定性的な方法のいずれを用いることも可能である」ということが言われています(これは環境目標に関する説明部分ですが)。ここから考えると、「パフォーマンス」というものの中には定量的なものと定性的なものがありうるということが言えるでしょう。

 

監視・測定で使用する機器の管理

上記のような監視や測定によって得られる結果は、法的要求事項への適合を実証したり(9.1.2参照)、外部の利害関係者に組織の重要な環境パフォーマンスとして開示したりする場合があるため(7.4.3参照)、監視・測定のために機器を使用する場合には、当然ながらそれらの機器がそのような目的に対して適切な監視・測定ができるという確信が持てなければなりません。従って、この項目ではそれらの監視や測定のための機器に対して必要な校正や検証を行うことも要求されており、また、この測定機器の保守、校正、検証に関する文書化した情報(記録)を保持することが要求されています。

 

監視・測定・分析・評価の「記録」と報告

また、これらの監視、測定、分析、評価で得られた結果の証拠として、適切な文書化した情報(記録)を保持すること要求されています。そして、附属書A.9.1.1で言われているように、環境パフォーマンスの分析・評価の結果は、しかるべき責任と権限を持つ人々に報告し、適切な処置が開始されるようにすることが重要です。これは、監視・測定・分析・評価を行う目的が、必要な処置を行って改善につなげることだということを考えれば当然のことでしょう。特に、この結果は後で出てくる9.3のマネジメントレビューへのインプットにもなるので注意が必要です。

 

書籍:「ISO14001:2015 完全理解」

今回初めての大改定となったISO14001:2015。
その背景には、めまぐるしく変化する社会情勢や、
その影響が無視できないほど大きくなりつつある地球環境の変化があります。
本書では各要求事項をその意図を含めて解説することで、
用語にとらわれない、要求事項が組織に求める「本質」を明らかにしていきます。