【ISO14001】8.1 運用の計画及び管理(1)
環境マネジメントシステムの運用のプロセスを計画し、管理しよう
この項目の要求事項を一言で言うと、「環境マネジメントシステムに必要な運用のプロセスを適切に計画し、管理しなさい」ということです。
「運用プロセス」とは?
「運用プロセス」とは、「環境マネジメントシステム要求事項を満たすため、並びに6.1及び6.2で特定した取組みを実施するために必要なプロセス」のことです。具体的には以下のようなものが典型的な例として挙げられるでしょう(但し、これらは組織の製品・サービスや活動、状況によって大きく異なります)。
- 廃棄物管理
- 排水処理
- 化学物質管理
- エネルギー管理
- 環境法令管理
どのように管理したらよいか?
これらのプロセスに対してどのような運用管理をどの程度行うかは、組織の運用の性質、リスク及び機会、著しい環境側面、順守義務によって異なります。ISO14001:2015の附属書A.8.1では、運用管理の方法の例として以下のような事項が挙げられています。
- 誤りを防止し、矛盾のない一貫した結果を確実にするような方法で、プロセスを設計する。
- プロセスを管理し、有害な結果を防止するための技術(すなわち、工学的な管理)を用いる。
- 望ましい結果を確実にするために、力量を備えた要員を用いる。
- 規定された方法でプロセスを実施する。
- 結果を点検するために、プロセスを監視又は測定する。
包括的なプロセス要求
ここでは、前述した4.4とともに「包括的なプロセス要求」がされている点にも注意が必要です。つまり、4.4では環境マネジメントシステム全体に対して、そこで必要なプロセスを確立することが包括的に要求されていたのに対して、ここではその中でも特に運用に関して必要なプロセスを確立することが包括的に要求され、その際に以下を実施することが求められています。
- プロセスの運用基準の設定
- 運用基準に従ったプロセスの管理
他の項目では必ずしも都度「プロセス」が要求されている訳ではなく、直接的に「〜しなければならない」と実施事項が規定されていることが多いですが、だからといってプロセスを構築しなくても良いという訳ではありません。この規格はあくまで「システム」の規格であり、そこには必要な程度プロセスや仕組みを構築し、それによって継続的に必要な事項が実施されるようにしなければならないことは当然です(ただし、それらの「プロセス」を文書化する必要があるかどうか、文書化するとしてもどの程度するのか等は組織の状況によって異なります)。
変更の管理
また、運用に関するプロセスにおいて計画した変更や意図しない変更が発生した場合、それによる有害な影響を軽減するための処置をとることが新たに要求されています。問題が発生するのは、何らかの変更に関わる場合が多いことから、マネジメントシステムの共通的な要求事項としてこのような変更の管理が規定されています。
ISO14001:2015の附属書A.1には、変更の例として以下のような事例が挙げられています。
- 製品、プロセス、運用、設備又は施設への、計画した変更
- スタッフの変更、又は請負者を含む外部提供者の変更
- 環境側面、環境影響及び関連する技術に関する新しい情報
- 順守義務の変化
(次回に続く)