【ISO45001】9.1.1 (モニタリング、測定、分析及びパフォーマンス評価)一般(2)
労働安全衛生マネジメントシステムがうまく機能しているかを評価しよう
(前回の続き)
モニタリング、測定、分析、パフォーマンス評価のプロセス?
モニタリング、測定、分析、パフォーマンス評価のそれぞれの用語の意味を理解したところで、この項目ではモニタリング、測定、分析、パフォーマンス評価のプロセスを確立、実施、維持することが求められていますが、具体的には以下のようなことを明確にすることが要求されています。
- 「何を」モニタリング、測定するか?(法的要求事項・その他の要求事項の順守の程度、危険源やリスク・機会に関する活動・運用、目標達成の進捗、運用やその他の管理の有効性を含む)
- 「どのように」モニタリング、測定、分析、パフォーマンス評価するか?
- 「どのような基準で」パフォーマンスを評価するか?
- 「いつ」モニタリング、測定するか?
- 「いつ」分析、評価、コミュニケーションするか?
また、これらのモニタリング、測定、分析、パフォーマンス評価で得られた結果の証拠として、適切な文書化した情報(記録)を保持することを要求しています。この結果は後で出てくる9.3のマネジメントレビューへのインプットにもなるので注意が必要です。
何をモニタリング、測定し、どのようにパフォーマンス評価すべきか?
それでは、「何を」モニタリング・測定すべきか、そしてその結果に基づいてパフォーマンスをどのように評価すべきなのでしょうか。これらについては、附属書A.9.1.1の説明が参考になります。
まず、「何を」モニタリング・測定すべきか、ということについては以下のような例が挙げられています。
- 労働衛生に関する苦情、働く人の健康・作業環境
- 労働に関わるインシデント、負傷・疾病、苦情の傾向
- 運用の管理・防災訓練の有効性、管理の変更や新しい管理の導入の必要性
- 力量
また、モニタリング・測定の中でも法的要求事項・その他の要求事項の順守の程度については更に以下のような例が挙げられています(なお、順守評価については9.1.2で個別に要求されています)。
- 特定した法的要求事項(例 全ての法的要求事項が確定されているか、それらに関する組織の文書化した情報が最新の状態になっているか、など)
- 労働協約
- 法令順守に関する欠落の程度
- 標準・規範
- 企業やその他の方針、規則、規程
- 保険に関する要求事項
そして、パフォーマンス評価の基準としては以下のような例が挙げられ、これらをベンチマークとして比較対照することでパフォーマンスを評価することができます。
- 他の組織
- 標準・規範
- 組織自体の規範・目的
モニタリング・測定で使用する機器の管理
上記のようなモニタリングや測定によって得られる結果は、法的要求事項への適合を実証したり(9.1.2参照)、外部の利害関係者に組織の重要な労働安全衛生パフォーマンスとして開示したりする場合があるため(7.4.3参照)、モニタリング・測定のために機器を使用する場合には、当然ながらそれらの機器がそのような目的に対して適切なモニタリング・測定ができるという確信が持てなければなりません。従って、この項目ではそれらのモニタリングや測定のための機器に対して必要な校正や検証を行うことも要求されており、また、この測定機器の保守、校正、検証に関する文書化した情報(記録)を保持することが要求されています。