【ISO14001】9.2 内部監査(1)

環境マネジメントシステムの適合性と有効性を自分たちでチェックしよう

この項目の要求事項を一言で言うと、「環境マネジメントシステムの適合性と有効性を評価するために、内部監査を実施しなさい」ということです。

「内部監査」とは何か?

この項目は、組織が内部監査をすることを要求しています。それでは、「内部監査」とは何でそうか。それを理解するためには、まず「監査」とは何かを理解する必要があります。

 

「監査」とは、規格では以下のように定義されています。

「監査基準が満たされている程度を判定するために、監査証拠を収集し、それを客観的に評価するための体系的で、独立し、文書化されたプロセス」(ISO14001:2015, 3.4.1)

 

これを簡単に言い換えると、「基準がどの程度満たされているかを、客観的証拠に基づいて評価するプロセス」ということになります。それを図で表すと以下のようになるでしょう。

「監査」とは何か?

そして、監査には大きく分けて「内部監査」と「外部監査」があり、「外部監査」は更に顧客又はその代理人によって行われる「第二者監査」と、ISOマネジメントシステム認証機関のような外部の独立した機関によって行われる「第三者監査」があります。これらに対して、内部監査を「第一者監査」と呼ぶこともあります。

「監査」の種類

何のために内部監査をするのか?

それでは、内部監査は何のために行うのでしょうか。9.2.1では、内部監査の目的を、以下のことを評価・判定することであると規定しています。

  • 環境マネジメントシステムが、組織が規定した要求事項に適合しているか。
  • 環境マネジメントシステムがこの規格の要求事項に適合しているか。
  • 環境マネジメントシステムが有効に実施され、維持されているか。

 

言い換えると、前二者は環境マネジメントシステムの「適合性」、後者は環境マネジメントシステムの「有効性」を評価することを意味しています。「適合性」とは「要求事項を満たしているか」、つまり「必要なことが実施されているか」であるのに対して、「有効性」とは「計画した結果が達成されているか」を意味します。従って、内部監査では、「決められたことが実施されているか」という「適合性」だけでなく、「実施されている結果が望ましいものとなっているか」という「有効性」も見なければならなりません。

 

(次回に続く)

書籍:「ISO14001:2015 完全理解」

今回初めての大改定となったISO14001:2015。
その背景には、めまぐるしく変化する社会情勢や、
その影響が無視できないほど大きくなりつつある地球環境の変化があります。
本書では各要求事項をその意図を含めて解説することで、
用語にとらわれない、要求事項が組織に求める「本質」を明らかにしていきます。