【ISO14001】6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定(1)

マネジメントシステムが目指すべき目標を決めよう

この項目の要求事項を一言で言うと、「環境マネジメントシステムが目指すべき目標を設定し、それを達成するための計画を立てなければならない」ということです。この項目の前半(6.2.1)では「環境目標の設定」について、後半(6.2.2)では「環境目標達成のための計画」についてそれぞれ規定されています。

「環境目標」とは?

それでは、「環境目標」とは何でしょうか。ISO14001規格では以下のように定義されています。

「組織が設定する、環境方針と整合のとれた目標」(3.2.6)

また、「目標」とは以下のように定義されています。

「達成する結果」(3.2.5)

要するに、「環境目標」とは、環境方針に整合し、環境に関して組織が達成したいと思う結果を示したもの、ということができるでしょう。

このような環境目標を「関連する機能及び階層」で設定することが要求されていますが、これは必ずしも「すべての」部門や階層で目標を設定しなければならないということではありません。例えば、「電力使用量の削減」や「廃棄物の削減」といったより上位の目標だけでは、組織の人々は具体的にどのような行動をとれば良いかが必ずしも明確ではありません。ここで重要なことは、これらのより上位の目標を達成するために、それぞれの人が具体的にどのような方向性で行動をとれば良いのかがわかるように、必要に応じてその達成に関連する部門や階層で細分化し、人々の行動をより上位の目標の達成に向けて方向付けることです。

これに関して、規格の附属書A.6.2では、「戦略的、戦術的又は運用的レベルで、環境目標を確立してもよい」と記述され、以下のような説明がされています。これも上記のような目標の細分化による具体化といったことを意図していると考えることができます。

  • 戦略的レベルの環境目標:組織の最高位を含み、組織全体に適用できる
  • 戦術的及び運用的レベルの環境目標:組織内の特定の単位又は機能のための環境目標を含み、、組織の戦略的な方向性と両立する

どのような目標を設定すべきか?

それでは、組織はどのような目標を設定すべきでしょうか。

まずは6.2.1の冒頭で、環境目標の設定に当たって考慮しなければならないこととして以下が挙げられています。

  • 著しい環境側面
  • 関連する順守義務
  • リスク及び機会

これらは6.1.1で挙げられたリスク・機会が関連する3つの分野と対応しており、環境目標(6.2)はリスク・機会(6.1)に基づくものである、という両者の関係が示されています。

なお、「著しい環境側面を考慮に入れる」とは、附属書A.6.2にもあるように、特定した著しい環境側面のすべてに対して目標を設定しなければならないということを意味しているわけではありませんが、環境目標を設定するときには著しい環境側面の優先順位が高くなる、ということを意味しています。

そして、6.2.1のa)~b)では、環境目標が満たすべき「中身」について規定されています。

a)では、「環境方針と整合している」ことが要求されています。これは「組織の目的・状況〜方針〜目標」とつながる流れが一貫したものであることで初めて、環境マネジメントシステムの活動が組織の真に目指すものに対して有効なものになるという意味で非常に重要です(下図参照)。

環境目標設定の流れ

b)では目標が「(実行可能な場合)測定可能」であることが要求されています。これについては、附属書A.6.2で目標の測定は定性的・定量的のどちらで行うこともできると説明されていることからも分かるように、必ずしも数値で目標を立てる必要はありません。但しその場合であっても、達成すべき「結果」のイメージが具体的になっており、それを達成できたかどうかが、誰が見ても客観的に判断できることが重要です。

(適切な目標設定のために注意すべきことについては、以下の関連記事でより詳細に解説しています↓)

http://j-vac.co.jpquestions_objective-setting/

 

(次回に続く)