【ISO質問箱】(共通)教育訓練の有効性はどのように評価したらいいの?

ISOのマネジメントシステム規格では「力量を持たせるための処置の有効性を評価」することが求められていますが、そのためには何をしたらよいのでしょうか?

 

力量を持たせるためには教育訓練以外の方法もある

ISO9001、14001、45001などでは、「7.2 力量」の項目で、業務に必要な力量を明確にし、その力量を有した人を業務に割り当てること、そしてもし必要な力量が備えていない場合にはそれを身に付けるために必要な処置をとり、その処置の有効性を評価することが求められています。

 

ここでまず注意しなければならないのは、「力量を身に付けるための処置」は必ずしも教育訓練だけではない、ということです。確かに教育訓練は力量を身に付けるための処置の重要なものの一つですが、場合によっては既に必要な力量を持っている人を採用したり、逆にプロセスを見直して必要な力量のレベルを下げたりすることで結果的に必要な力量を持った人がその業務に従事できるようにすることも可能でしょう。

 

このように、「教育訓練」は力量を身に付けるための処置のあくまで一つの方法だということを踏まえた上で、ここでは「教育訓練」の有効性を評価するための方法を考えてみましょう。

 

この要求事項は、ISO9001では2000年改定の際に初めて含められました。2000年改定はISO9001で初めての大きな改定でしたので、その改定に対応する際に、教育訓練の有効性をどのように評価したら良いのか、という質問が多く寄せられました。そして、その際に多くの組織で行われたのが「理解度テスト」でした。

(ISO9001:2015の「7.2 力量」の要求事項については、以下の関連ブログもご覧ください↓)

【ISO9001】7.2 力量

≫【ISO9001規格解説】【ISO14001規格解説】【ISO45001規格解説】のビデオの「7 支援」の中でも「7.2 力量」の要求事項を解説していますので、ぜひご覧ください(1,000円で1ヶ月間お試しレンタルいただけます)。

【ISO9001規格解説】ビデオはこちら

【ISO14001規格解説】ビデオはこちら

【ISO45001規格解説】ビデオはこちら

 

 

 

教育訓練の有効性は「理解度テスト」だけでは評価できない

それでは、教育訓練の有効性を評価するには「理解度テスト」で教育を受けた人の理解度を測れば良いのでしょうか。それを考えるには、「力量を持つ」とはどういうことかを考える必要があります。

 

「力量(competence)」とは、ISO規格では「意図した結果を達成するために、知識及び技能を適用する能力」と定義されています。これは平たく言うと「できること」と言えるでしょう。

 

そして「有効性(effectiveness)」もISO規格で「計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度」と定義されています。

 

これらのことから「力量を身に付けるための処置の有効性」とは、「できるようになったかどうか」と言い換えることができるでしょう。

 

従って、力量を身に付けるための処置の主要な方法の一つである「教育訓練」の有効性を評価することは、教育訓練によってできるようになったかどうかを評価する、ということになります。

 

「理解度テスト」はあくまで「頭で分かったかどうか」を評価するものであり、頭で分かってもそれはできることとイコールではありません。もちろん「できる」ためには、「頭で理解する」ことが必要な部分もありますので、「理解度テスト」が全く不要ということではありませんが、「理解度テスト」だけでは、力量を身に付けるために行った教育訓練の有効性を完全に評価したことには必ずしもならないことが分かるでしょう。

 

「できるようになった」かどうかを評価することが重要

それではどうしたら良いのでしょうか。これは運転免許証の取得の例を考えれば分かりやすいと思います。運転免許を取得するためには、学科試験だけでなく路上教習で実技試験に合格する必要があります。「理解度テスト」はここでの学科試験に当たります。そして、実技試験に当たることが具体的に何かはそれぞれの組織で考える必要がありますが、ここで重要なことは「できるようになったか」を評価することですから、例えば実際に対象となる業務を実施してもらい、その結果に問題がないことを評価するということになるでしょう。これは1回の評価で良い場合もあるかもしれませんし、一定期間にわたって監視して評価するかもしれませんが、いずれにしても最終的に重要なことは、すでに力量を持っている人が、この人はできるようになった、ということを確信をもって言えるかどうかが重要な基準となるでしょう。

 

まとめ

力量を身に付けるための処置の有効性評価で重要なことは「できるようになったか」を評価すること。「理解度テスト」はあくまで「頭で分かったかどうか」を評価するためのものであり、それだけでは必ずしも「力量を身に付けた」ことを評価するのに十分ではない。