【ISO45001】9.3 マネジメントレビュー(2)

労働安全衛生マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性をレビューしよう

(前回の続き)

マネジメントレビューに何をインプットすべきか

この項目の中ほどでは、マネジメントレビューでインプットされ、考慮されるべき事項が以下のように列挙されています。

  • 前回までのマネジメントレビューの結果とられた処置の状況
  • 以下を含む、労働安全衛生マネジメントシステムに関連する外部・内部の課題の変化
    • 利害関係者のニーズ・期待
    • 法的要求事項・その他の要求事項
    • リスク及び機会
  • 労働安全衛生方針・目標が達成された程度
  • 以下の傾向を含めた、労働安全衛生マネジメントシステムのパフォーマンスに関する情報
    • インシデント、不適合、是正処置、継続的改善
    • モニタリング・測定の結果
    • 法的要求事項・その他の要求事項の順守評価の結果
    • 監査結果
    • 働く人の協議・参加
    • リスク・機会
  • 資源の妥当性
  • 利害関係者との関連するコミュニケーション
  • 継続的改善の機会

 

上記のように、これらの事項を考慮すべき頻度はそれぞれ異なるでしょうから、例えば毎月の経営者が参加する会議を主なマネジメントレビューの場とした場合、全ての項目を毎回インプットする必要はないでしょう。しかしながら、これらの事項のうちのあるものがずっとインプットされない、ということのないように、一定の期間(通常は1年のことが多いでしょう)で全ての事項が何らかの形でインプットされる必要があります。

マネジメントレビューから何をアウトプットすべきか

この項目の後半では、マネジメントレビューからアウトプットすべき事項が以下のように規定されています。

  • 労働安全衛生マネジメントシステムの継続的な適切性、妥当性、有効性
  • 継続的改善の機会
  • 労働安全衛生マネジメントシステムの変更の必要性
  • 必要な資源
  • 必要な処置
  • 労働安全衛生マネジメントシステムと事業プロセスとの統合を改善する機会
  • 組織の戦略的方向性に対する示唆

 

つまり、上記のようなインプット情報に基づいて、経営トップは、自分たちの労働安全衛生マネジメントシステムについてどのような改善の機会があるのか、労働安全衛生マネジメントシステムを変更する必要があるのか、人や設備機器、知識といった資源を追加する必要があるのか、何らかの処置をとる必要性はあるのか、どのようにしたら労働安全衛生マネジメントシステムと事業プロセスをよりよく統合することができるか、戦略的にどのような方向性をとっていくべきか、といったことについて決定し、必要な処置を指示することが求められています。

 

マネジメントレビューからのアウトプットがいつも「特にない」という組織がたまに見られますが、それでは「自分たちは継続的改善を何も実施していない」と言っているのと同じことです。このような形骸化したマネジメントレビューにならないよう、適切な情報に基づく効果的な意思決定ができるような仕組みにすることが非常に重要です。

 

マネジメントレビューの仕組み

 

なお、マネジメントレビューの結果は文書化した情報(記録)として保持しなければなりません。多くの場合、会議の議事録やそこでの資料といった形で記録が残されるでしょうが、このような記録は、当然ながら7.5.3の「文書化した情報の管理」の要求事項に従って管理する必要があります。