【ISO14001】6.1.3 順守義務(1)

義務として守らなければならない事項を特定し、何をしなければならないかを明確にしよう

この項目の要求事項を一言で言うと、組織は、義務的に守らなければならない事項にどのようなものがあるかを特定し、それに対して何をしなければならないかを明確にしなければならないということです。

「順守義務」とは?

まず「順守義務」とはどのような意味でしょうか。規格では以下のように定義されています。

「組織が順守しなければならない法的要求事項、及び組織が順守しなければならない又は順守することを選んだその他の要求事項」(ISO14001:2015, 3.2.9)

 

つまりこれは、組織が守らなければならない「義務的な事項」で、それには、「法的要求事項」のように公的に順守の義務が課せられるものだけでなく、組織自身がそれを順守することを自主的に誓約した「その他の要求事項」も含まれます。附属書A.6.1.3では法的要求事項には以下のようなものが例として示されています。

  • 政府機関又はその他の関連当局からの要求事項
  • 国際的な、国の及び近隣地域の法令及び規制
  • 許可、認可又はその他の承認の形式において規定される要求事項
  • 規制当局による命令、規則又は指針
  • 裁判所又は行政審判所の判決

 

また、「その他の要求事項」についても、附属書A.6.1.3で以下のような例が挙げられています。

  • コミュニティグループ又は非政府組織(NGO)との合意
  • 公的機関又は顧客との合意
  • 組織の要求事項
  • 自発的な原則又は行動規範
  • 自発的なラベル又は環境コミットメント
  • 組織との契約上の取決めによる義務
  • 関連する、組織又は業界の標準

 

「環境側面に関する」順守義務とは?

ここで、「組織の環境側面に関する順守義務」ということが言われている点に注意が必要です。というのも、これは、「水質汚濁防止法」や「大気汚染防止法」、「廃棄物処理法」といった法律に代表される、いわゆる「環境法」と考えられるものに必ずしも限定されるわけではないからです。自分たちの「環境側面に関する順守義務」にどこまでを含むかは組織が判断することでしょうが、このような規格の意図を適切に考慮して判断すべきです。

 

例えば、過大な景品付き販売や誇大広告、不正表示等で消費者を惑わす販売行為を防止することを目的とした「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」は、直接的に環境に関して規定した法律ではありませんが、組織がその商品の環境パフォーマンスに関する情報を表示する際には、これも「組織の環境側面に関する順守義務」に含まれる可能性があります。

 

そのように考えると、順守義務は場合によって広範囲にわたる可能性があり、そのような場合、いわゆる「ISO事務局」ですべて対応できるものではないでしょう。このような法規制への対応が既に組織の別の部署(例えば法務部)で行われている場合には、それをそのまま活用すれば良いでしょう。

 

このように、組織において既に実施されている対応手段を最大限活用することが、先の5.1やこの後の6.1.4に出てくる「事業プロセスへの統合」を促進することであり、このようなことを通じて、より組織の実態に合った環境マネジメントシステムにつなげることができます。

 

(次回に続く)

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