【ISO14001】6.1.2 環境側面(1)

環境上重要なリスクを特定しよう

この項目の要求事項を一言で言うと、「組織は、環境側面を洗い出し、その中から特に環境上影響が大きい著しい環境側面を特定しなければならない」ということです。環境側面は環境マネジメントシステムの運用の方向性に大きな影響を与えるものですので、この項目はISO14001の中でも特に重要な項目と言うことができます。

「環境側面」とは?

6.1.1で、リスク・機会が関連する分野としてISO14001:2015は3つのものを挙げていることを見ましたが、この項目はそのうちの一つである「環境側面」について規定しています。

 

「環境側面」はISO14001の初版が1996年に発行されて以来使用されている用語で、初めてISO14001規格に接する人には特に分かりにくい言葉の一つでしょう。これは規格では以下のように定義されています。

「環境と相互に作用する、又は相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」(ISO14001:2015, 3.2.2)

 

これは、言い換えると「環境に対して何らかの影響を与える原因となる(なりうる)もの」ということで、環境側面と環境影響は「原因と結果」の関係にあることになります。

「ライフサイクルの視点」とは?

ここでの要求事項は、主に以下の2つのステップから成っています。

ステップ1:環境側面・環境影響の決定

ステップ2:著しい環境側面の決定

 

著しい環境側面の特定

 

ステップ1の「環境側面・環境影響の決定」では、以下について考慮する必要があります。

  • ライフサイクルの視点
  • 変更(計画・新規の開発、新規・変更された活動、製品・サービス)
  • 非通常の状況・緊急事態

 

このうち、特に「ライフサイクルの視点」は2015年版で初めて明確に言及されるようになった考え方ですので、注意が必要です。「ライフサイクル」とは、以下のように定義されています。

「原材料の取得又は天然資源の産出から、最終処分までを含む、連続的でかつ相互に関連する製品(又はサービス)システムの段階群」(ISO14001:2015, 3.3.3)

 

これは言い換えると、自分たちの提供する製品・サービスについて、それが由来する原材料の取得から、使用された後の最終的な廃棄や処分までの「一生」であり、環境側面を特定するときには、このような広い視野を持つことが重要であることを認識すべきことが意図されています。なぜなら、このような視点を持たないで自分たちの組織が直接的に関わる環境側面のみを考えていると、「環境影響が意図せずにライフサイクル内の他の部分に移行」(ISO14001:2015, 0.2)してしまう可能性があり、このようなことは環境に対する全体的な最適化という面からは望ましくないからです(例 従来自社から排出されていた廃棄物を単に協力会社に移転してしまう)。

 

特にサービス業の組織では、顧客のふるまいによって組織の環境への影響が大きく左右される場合があります(例 ホテルでの宿泊客による水や電気の必要以上の使用、機械の保守サービス業者でのユーザーによる機械の誤操作等)。これらの「顧客のふるまい」に対して組織が直接管理することは難しいですが、協力の呼びかけや適切な情報提供によって影響を及ぼすことはできるでしょう。これらは、ライフサイクルの視点で見ると、組織のサービスの使用段階に対して組織が適切な影響を及ぼすことでプラスの環境影響をもたらすことができる事例と言えます。

 

但し、このような「ライフサイクル」の視点を持って環境側面を特定すべきことが要求されていますが、ここでは「詳細なライフサイクルアセスメント」が要求されている訳ではなく、「ライフサイクルの段階について注意深く考えることで十分」とされている点に注意すべきです(ISO14001:2015, A.6.1.2)。なお、「ライフサイクル」の考え方は、この項目の他に8.1「運用の計画及び管理」でも言及されています。

 

「ライフサイクルの視点」

 

上記の意図に照らして考えると、組織の活動に対して「インプット/アウトプット」(何をどれくらい使い、何をどれくらい排出しているか)ということだけに着目した環境側面の特定では十分でないことが分かります。ライフサイクルを考慮するためには、自分たちの製品・サービスの「一生」(原材料の取得から使用後の最終処分まで)を視野に入れ、それらに対して自分たちがどのような影響を与えることができる要素(環境側面)を持っているかを注意深く検討することが非常に重要です(例 使用材料の選定や購買先・外注先の選定による原材料面での環境負荷の低減、製品・サービスの仕様の決定(環境配慮設計)による輸送や使用、廃棄段階での環境負荷の低減、ユーザーへの情報提供による使用、廃棄段階での環境負荷低減等)。

 

(次回に続く)

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