【ISO14001】6.1.4 取組みの計画策定

リスク・機会にどのように取り組むかを計画しよう

この項目の要求事項を一言で言うと、「組織は、6.1.1〜6.1.3で特定したリスク・機会にどのように取り組むかを計画しなければならない」ということです。6.1.1〜6.1.3でリスク・機会が特定されましたが、これらを特定しただけでは意味がありません。ここで特定された「リスク・機会」は、組織がその環境マネジメントシステムが意図した成果を達成するために取り組むべき優先事項ですので、それに対して確実に取り組むために、計画を立てる必要があるのです。

何を計画するのか?

それでは、ここでは何を計画することが要求されているのでしょうか。まずa)にあるように、以下に対してどのように取り組むかを計画することが求められています。

  • 著しい環境側面(6.1.2で検討)
  • 順守義務(6.1.3で検討)
  • 6.1.1で特定したリスク・機会

 

そして、b) 2)で要求されているように、「取組みの有効性の評価の方法」についても計画の段階で明らかにすることが必要です。同様の趣旨の要求は、6.2.2のe)にもありますが(労働安全衛生目標に関する結果の評価方法を計画段階で決定する)、これは、「何をすればよいか」だけでなく、「結果がどうであればよいか」までを計画の時点で具体的にすることで、意図した成果を得ることの確実性を上げることを意図しており、ISO14001規格の大きな特徴の一つである「パフォーマンス重視」の考えが現れた要求と言えるでしょう。

どのように計画するのか?

それではこれらをどのように計画した良いのでしょうか。これについては規格が具体的な手法を要求しているわけではありませんが、b) 1)で言われているように(「事業プロセスへの統合」)、できるだけ自分たちの既にある仕組みの中に取り入れていくように計画することが重要でしょう。

 

つまり、この規格の要求事項に対応するためだけに「リスク対応計画表」のような画一的なものを新たに作成するのが必ずしも組織にとって良い方法ではないかもしれず、例えば、環境目標につなげてその達成計画を策定する場合もあれば(6.2.2)、設備や人といった資源の計画として策定する(7.1~7.3)こともあるでしょうし、運用管理の計画(8.1)として実際の現場の手順に落とし込む形で策定することもあるでしょう。さらに、それらの中で緊急事態として想定されるものについては、緊急事態への準備・対応(8.2)として計画することもあり得ます。このように、実際のシステムの運用に合わせて、適切な方法で計画をすることが重要なわけです。

 

6.1の細分項目(6.1.1〜6.1.4)の関係は少々込み入っていますので、以下にその関係と、その他の項目との関係を図示しましたので、参考にしてください。

 

6.1の細分項目の相互関係とその他の項目との関係

計画での考慮事項

 

この項目の後半では計画の際に考慮すべきこととして、以下を考慮することが要求されています。

  • 技術上の選択肢、並びに財務上、運用上及び事業上の要求事項

 

これは、経営資源や技術上の制約、経営戦略上の優先事項といったことと無関係に計画された、実効性に欠けた取組みとならないようにすることを意図したものと考えることができます。