【文書】文書や記録が増え続けて管理しきれない。どこまで削減できる?
ISOを取得して数年が経過した組織から、多く聞かれる悩みの一つが
「文書や記録が増えすぎて、誰も全体を把握できていない」 という問題です。
結論から言うと、多くの組織では“削減できる文書・記録が3〜5割程度存在する” ケースが珍しくありません。
ISOは「文書をたくさん作れ」とは要求していない
まず重要なのは、ISO規格そのものは
「必要な文書化した情報を維持すること」
を求めているだけで、文書の“量”を求めているわけではありません。
しかし現実には、
- 審査で指摘されるのが怖い
- 前任者が作った文書を消せない
- 「念のため残しておこう」という心理
が積み重なり、文書が肥大化していきます。
削減できる文書・記録の典型パターン
① 実務で使われていない文書
最も削減しやすいのがこのタイプです。
具体例:
- 誰も見ていない詳細な手順書
- 実際の業務フローと合っていない作業標準
- 「存在は知っているが、開いたことがない」文書
実務で使われていない=ISO上の価値も低い ため、統合・簡素化・廃止の対象になります。
② 役割が重複している文書・記録
同じ内容を別の書式で二重・三重に管理しているケースも非常に多いです。
具体例:
- 業務日報と別に、同内容のISO記録が存在
- システム入力+紙チェックリストの二重管理
- 同じ会議内容を複数の議事録で残している
この場合は
「どれか一つを正式記録と定義する」
だけで管理負荷を大きく下げられます。
③ “念のため”作られたチェックシート
取得初期に多いのが、安心材料として作られたチェックシートです。
具体例:
- 毎回同じ内容をチェックしているが、実際は誰も確認していない
- チェック欄が多すぎて形式的な✔だけになっている
- チェック結果が改善に使われていない
改善に使われていない記録は、存在意義が薄い ため、簡素化や廃止が可能です。
削減の進め方(実務的ステップ)
ステップ1:文書・記録の棚卸し
- 文書名
- 使用頻度
- 利用者
- 利用目的
を一覧化します。
ステップ2:「使われているか?」を基準に分類
- 日常的に使われている
- たまに使われる
- ほとんど使われていない
ステップ3:統合・簡素化・廃止を判断
この時の判断基準は
「この文書がなくなって業務や品質が悪化するか?」
です。答えが「NO」なら削減候補です。
審査員は“文書の量”より“妥当性”を見ている
多くの企業が誤解していますが、
審査員は「文書が多い=良い」とは見ていません。
むしろ、
- 実務と合っているか
- 無理なく運用できているか
- 必要な証跡が合理的に残っているか
を重視します。
文書が少なくても、実態と一致していれば問題ありません。
まとめ:削減は“ISOレベルを下げる行為”ではない
文書削減は、ISOを弱くする行為ではなく、
ISOを“使える仕組み”に戻す行為 です。
- 管理しきれない文書
- 誰も読まないルール
- 改善に使われない記録
これらを整理することで、
ISO運用は軽くなり、現場の理解も一気に進むでしょう。

