【2015年改定のポイント】(5)パフォーマンスの重視

ISO9001とISO14001の2015年改定ポイント解説の5回目は「パフォーマンスの重視」です。これも今回の改定で非常に重要な変更の一つです。「パフォーマンス」とは言い換えれば「結果」です。

マネジメントシステム規格は、言うまでもなく「システム」規格、つまり仕組みの規格ではありますが、だからといってその結果には関心を払わない、ということではありません。そもそもマネジメントシステムを構築し、運用するのは、ISO9001であれば「一貫して適合した製品・サービスの提供と顧客満足の向上」、ISO14001であれば「汚染の予防を含む環境保護」といった目的を実現するためであり、その目的に対して有効なシステムになっていなければ、運用する意味がありません。また、ISOのマネジメントシステムを導入している組織において不祥事が起こったり、そこまでいかなくても品質や環境面で十分な成果が出ていない、という批判があったことも事実です。

ISOとしてはこのような問題を重視し、「アウトプットが重要である」という共通認識の下、今回の規格改定を進めてきました。したがって、あくまで「望ましい結果を生み出すためのシステム」であるということを理解し、「システムのためのシステム」「ISOのためのシステム」にならないようにすることが重要です。

それでは、これは具体的にどのような要求事項として現れてくるのでしょうか。細かく見ていくと、「意図した結果」「パフォーマンス」「有効性」といった形で規格の至るところに出てきますが、特に重要なのは、PDCAのP(計画)、C(チェック)、A(処置)の各段階でしょう。

つまり、

「P」:「意図した結果」を達成できるように、「パフォーマンス」や「有効性」を評価する方法を含めて計画する。(4.1、4.4、6.1など)

「C」:実施した結果が「有効」であるか、「パフォーマンス」を監視、測定、分析、評価する。(9.1、9.3など)

「A」:「パフォーマンス」や「有効性」を改善する。(10)

ということです。

言い換えれば、マネジメントシステムの運用において、常に「パフォーマンス」や「有効性」を意識することを求めている、とも言えるでしょう。

<考え方のポイント>

結果をどのように評価するかが計画の中で明らかにされ、実施した結果が適切に監視、測定、分析、評価され、その結果必要な改善が行われるような仕組みになっているか?