ISO9001/ISO14001:2015年版に移行するための流れをわかりやすく解説

2-4. リーダーシップの重要性の強調

変更点1、3とも関係しますが、今回の改定では経営トップのリーダーシップの重要性が今まで以上に強調されています。特にISO14001にとっては、今まで経営者の責任について明確に規定した項目はありませんでしたから、大きな変更と言えるでしょう。

これは、具体的には5.1「リーダーシップ及びコミットメント」の項目で、「マネジメントシステムに関するリーダーシップとコミットメントを実証しなければならない」として規定されています。「コミットメント」という言葉は、日本人にはあまり馴染みのない言葉ですね。訳語としては「約束」や「関与」といった言葉があてられることが多いですが、カルロス・ゴーン氏が日産に来たときに盛んに使った言葉として記憶されている方も多いかもしれません。ゴーン氏が使っていた「コミットメント」という言葉に込めた意味から考えると、単なる「約束」や「関与」よりももっとずっと強く、「覚悟を持った本気の取り組み」とでも言うべき内容を意味していると理解することができ、この5.1でもそのような意味として捉えるべきでしょう。

では、どのようなことを通じてトップは「リーダーシップとコミットメント」を実証しなければならないのでしょうか。これについては、ISO9001ではa)〜j)の10項目、ISO14001ではa)〜i)の9項目を挙げて、トップが実施すべきことを規定しています。中でも注意を要するものとして特筆すべきことは以下のようなことでしょう。

  • マネジメントシステムの有効性への説明責任をもつ
  • 方針・目標を組織の戦略的な方向性や状況と整合させる
  • マネジメントシステム要求事項を組織の事業プロセスに統合させる
  • マネジメントシステムが意図した結果を達成できるようにする
  • 他の管理層がリーダーシップを発揮できるように支援する

「説明責任」とは最近よく聞かれる言葉ですが、マネジメントシステムが有効に機能しているのか、課題は何かといったことについて、トップとして大局的な視点から把握し、自分の言葉で説明することが重要です。また、方針や目標が組織の戦略的方向性や組織の状況(これについては変更点1も参照)に合致していなかったり、マネジメントシステムの要求事項が組織の実際の事業プロセス(これについては変更点3を参照)とは別に対応されていたりしたのでは、せっかくのマネジメントシステムが形骸化してしまいます。したがって、トップはそのようなことのないように、組織の実態とマネジメントシステムを整合させ、マネジメントシステムが意図した結果を達成することができるようにすることの責任を持っています。さらに、リーダーシップはトップだけが発揮すべきものではなく、それぞれの階層のマネジャーによって発揮されるべきものでもあるため、トップはそのような各階層でのリーダーシップが発揮されるようにサポートすることも求められていることにも注意が必要です。

このように、トップにはマネジメントシステムを有効に機能させる上で非常に大きな責任が期待され、要求されているのです。

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