【ISO9001】品質マネジメントシステムに必要な文書や記録を作成し、管理しよう~「7.5 文書化した情報」(2)

(前回の続き)

● 文書化するときの注意点
文書化を考える際に組織が最も陥りやすい間違いは、この規格の要求事項どおりに手順をすべて文書化することです。しかし、それでは「組織の必要性」が考慮されていないのと同じです。文書化とはあくまで組織がそのプロセスを効果的に運用するためのものであり、その程度において必要なものであることを考えると、組織が何に対して、どの程度文書化する必要があるかを決め、作成することが非常に重要です。

どのような場合に文書化した情報が必要であるかを検討するには、同じ作業をしている複数の人達のアウトプットを調べるという方法があります。そのアウトプットが同じであれば、それは既に教育訓練や要員の力量によって確実にあるべきプロセスが守られているのかもしれないし、また単純なプロセスのために間違う要素があまりないということなのかもしれません。いずれにしてもそのような場合は、組織として文書化の必要はないと判断することも十分考えられます。また、関わる要員の入れ替わりの多さや、同じ作業をする人の数の多さ、そのプロセスが製品・サービスの品質に与える影響の大きさ等によっても文書化の必要性は異なります。例えば、ファーストフードのレストランのように作業者の入れ替わりが多いところでは、専門の料理人を抱えているレストランよりも多くの文書化した情報が必要でしょうし、一つの作業に対して多くの要員が関与しているような大企業においては、一人の人だけが担当している中小企業よりも多くの文書化した情報が必要な場合が多いでしょう。また、飛行機の緊急事態発生時には決められた手順を厳格に守らなければ大事故に至る可能性があるため、機内のトイレの清掃の手順よりも文書化の必要性が高いことは当然でしょう。

以上を考慮すると、以下のような場合、文書化した情報の必要性が一般的に高いと思われます(但し、当然以下の場合に限られるものではありません)。

  • 様々な人が行わなければならない作業の手順
  • 力量が必ずしも高くない人が行う作業の手順
  • 複雑な作業の手順
  • 決められた順序・内容に正確に従って行わなければならない作業の手順

2015年版改定時のISO9001規格作成委員会の議長であるナイジェル・クロフト博士は、「マネジメントシステムは文書化されたシステムであって、文書のシステム(体系)ではない」と言っています。これは、重視されるべきは「システム」であって「文書」ではないことを意味していますが、品質マネジメントシステムの文書化を考える際に常に覚えておきたい言葉です。

(次回に続く)